【第478回】永山智行(劇団こふく劇場 代表)

ぼくらが旅に出る理由

 劇団こふく劇場第15回公演「ただいま」は、2015年の初演で全国6箇所(三股、北九州、三重、門川、松山、東京)を旅し、そうして今年度の再演では全国10箇所を旅しています。

 8月の宮崎県立芸術劇場で、あたたかく送り出していただき、9月の豊橋では、劇場のスタッフのみなさんの優しさに触れ、2度目となる三重では、ほんとうに多様なみなさんと出会い、10月の広島では、やはりいのちについて深く考え、12月の初めての札幌では、雪の中、客席のあたたかさに感動し、訪れなければならなかったいわきでは、6年ぶりに震災の爪痕とその復興を目の当たりにし、東京ではほんとうにたくさんの方と再会し、そしてこれから沖縄、福岡と旅は続きます。出会いと別れ、再会を繰り返すたび、その嬉しさや淋しさは俳優の体に深く刻まれ、そうして作品は、より確かに、力強く、深くなっていくのを感じます。ぼくらが作品を持って旅に出る理由、それはきっとこういうことなんだと思うのです。

 2月、福岡でみなさんと出会うとき、この作品はいったいどんな彩りの作品になっているのでしょう。その出会いと別れを胸に、最後、ぼくらはホームである三股町に、「ただいま」と言って帰るつもりです。

劇団こふく劇場 永山智行 


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