【第548回】仲谷一志(劇団ショーマンシップ座長・協同組合唐人町プラザ甘棠館代表理事)

「劇場が教えてくれた事」

唐人町商店街の中にあり協同組合が所有し、我々劇団ショーマンシップが20年間、管理運営してきた「甘棠館Show劇場」は2017年ぐらいからザワついていました。

詳しい経緯は、ごっそり省くと、その存続が危ぶまれ始めました。

この出来事には誰一人「悪者」は居ません。

『公共』ではない『民間』の、しかも『小劇場』の運営は、いつも誰かの「犠牲」の上に成り立っていました。

ただ、江戸時代に「西学問所 甘棠館」があった同じ場所で、商店街の中にある小劇場の存在意義は皆、理解していました。

僕は自分がこの劇場の経営の真ん中に立つことで劇場の存在が守れるならと鼻息を荒くして立ち回りました。僕の肩書に「協同組合唐人町プラザ甘棠館代表理事」というのが増えました。

多くの「大人たち」の力添えで「国の補助事業」が採択されました。足りないお金は、お客様から「支援金」を頂戴したり、福岡のタレント・芸人・DJ・アナウンサーといった錚々たるメンバーがボランティアでトークショーをやってくれたりしました。

僕も自宅を売却しましたし、気が付くと借金も残りましたが、「甘棠館Show劇場」は新しくなって未来に向かっています。

また、今年度から「サポーター」の募集をさせていただいたところ多くの企業、団体、個人さんのご支援を頂いております。

心から、心から感謝しています。

劇場は、人によって守られ、出会いを運び、そこに夢と光のある空間なんだと今、確信しています。

劇場は誰のものでもありません。民間で運営していても社会のものなのです。

・・・だから

先が読めず、今まで経験したことのない不安を世界中の人が抱えている今、「密集」「密閉」「密接」の3つの密が揃ってしまった小さな劇場が出来ることはただ一つ「新型コロナ」とどう戦ったかという物語を刻み、未来に繋ぐこと、誰のせいにもせずに知恵を使い今できる判断を社会と共有することしかないと思います。

この文章を書く前に自分の判断で一つ公演を中止にしました。

・・・・・未来に劇場をつなぐために。

2020.04.03

劇団ショーマンシップ

http://www.showman.jp/




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