【第574回】下松勝人 (劇作・演出家/名島表現塾主宰)

みなさん、こんばんは。 風もなく静かな夜です。

というわけで、今回、別役実の戯曲セミナーで講師させていただくことになった下松(しもまつ)です。

以前、別役作品を上演した時の思い出について書きたいと思います。

これまで上演した中で最も印象に強く残っているのは、僕が福岡で初めて自分の劇団葡萄一族を旗揚げした後に第二回公演としてやった「カンガルー」です。

これは初期の作品で、その後の別役作品には登場しないような人物「娼婦」「ヒモ」「情婦」「黒帽子(ギャング)」や「船長」などが出てきて、歌あり立ち回りありの異色な作風の戯曲です。

この作品を上演した79年にまだ20代前半だった僕は演出家としていろいろやってみたくて、8ミリ映像の投影(動物園にカンガルーを、博多港に船を撮影に行った)や舞台を二つ作って劇中で移動するなどの試みをしました。

劇場は、当時の秀巧社ギャラリーをホールとして借りて使いました。

お客さんのことをあまり考えずに、ただただ劇を創ることが楽しい時代だったと反省をしています。

評判はどうだったのか分かりませんが、公演後劇団員が増えたのでそれはそれで良かったのかなと今は思っています。

そんなわけで、戯曲セミナーのワークショップ「堕天使」をよろしくお願いします

2020.11.19


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