福岡キビる舞台芸術祭「キビるフェス」にて、3月8日(土)と9日(日)の2日間公演を行う「ギムレットには早すぎる」。
公演まで約1ヶ月ということで、稽古場にお邪魔してきました。
今公演の作品タイトルは「境目」。出演者は男性4人。
見学に訪れた日は、一旦創作した作品を改めて練り直す作業をされていました。
それぞれの人物像を掘り下げていく作業、ということでベースとなる性格や癖などみんなで話をして創り上げていきます。
和気あいあいとした雰囲気ながらも、皆さん真剣。
こういうことじゃない?これはこうじゃない??という感じでそれぞれの関係性も考えながら、お互いのイメージの共有をしていきます。
「境目=壁」というフレーズが飛び出してきたりもして、タイトルである「境目」の意図するものがとっても気になりますね~。
前半の共有タイムを踏まえて、後半は実際のシーンの立ち上げを試していきました。
前半に出し合った要素を織り交ぜながら、動きを取り入れながら自由に進めていきます。
こういう人いるよね、癖あるよね、みたいな感じで普通にクスクスにやにやと笑いながら見学させていただきました。
待機中の役者も笑いますよね(笑)最高です。
その向かい側で、演出の村岡さんはそこからアイディアを拾って脚本の肉付けを行っていきます。
一通り流したところで、本日の稽古はおしまい!!
みんなで場を創り上げる空気感がなんとも心地よい稽古場でした。
ここからどうなっていくのか、本番が楽しみです。
さて、ここからは稽古場インタビューをお届けします。
「ギムレットには早すぎる」の村岡さんに稽古場で感じた疑問や質問を交えながらギムはやについてのあれこれ、作品についてのあれこれを聞いてみました。
『ギムレットには早すぎる』村岡勇輔 インタビュー
◆「ギムレットには早すぎる」(以下ギムはや)元々は学生演劇祭からスタートしたと聞いています。
2021年だったかな。ちょうど新型コロナウィルスが発生してから1年経ったくらいのタイミングで行われた学生演劇祭に参加したのがきっかけで立ち上げました。
◆コロナ禍でも演劇の活動は行われていたんですね。
そうですね。学生演劇祭もなんとか続けようという流れがあり。
◆ギムはやには、脚本を書かれたり演出をされたりする方が複数いらっしゃると聞きました。
脚本を書く、というところで言うと、自分と下沖と松永の3人ですね。この3人は演出もやります。
◆公演の度に役割の分担が変わる感じなんでしょうか?
そうですね。まずどこで公演をするのかという枠組みが決まって、そこからじゃあ誰が描くのかという話になって、そこで今回書きたい人だとか演出したい人だとかを決めるというやり方もあるし、それぞれのスケジュールによって今回は難しいからお願いしたい、というような決め方もあります。
◆脚本を書く方や演出できる方が複数いると状況に応じて、それぞれの日常生活を歩みながら演劇の活動に関われるという強みがありますね。
団体として活動を続けられているというのはそれが大きいのかなって思いますね。
◆今回のキビるフェスに参加される作品は団体としては何作品目になるんでしょうか?
作品としては8作品で、今回が9作品目です。
◆結構なペースで作品を創られていますね。
そうですね。年2〜3本くらいのペースかな。ありがたいことに1つの公演が終わったら次が決まっている、という形で進んできました。
◆今回の作品は下沖さんが脚本、演出が村岡さんですね。今日の稽古の最初の方で、骨組みとしての脚本に、演出である村岡さんが肉付けをしたものをみんなに読んでもらってというお話をされていました。今日はそこから深く掘り下げる作業をされているのかなと思って拝見していました。いつも作品を創作される際はこういう作り方をされるんですか?
創り方はその時々によって様々ですね。演出家が脚本も担う場合は、筆の進み具合によって変わってきますし、脚本家と演出家が違う場合は、完成した脚本がいつ上がってくるのかによって変わってくる。いずれにしても、こうやって稽古場で練り直すみたいなことは割とやってきていると思います。
◆なるほど。村岡さんの創り方で言うと、今回のようなパターンが多いですか?
自分的には結構イレギュラーですね。いつもの僕のスタイルではないので今ちょっと苦戦していますね(笑)
◆配役それぞれの背景やキャラクターを共有しながら、全体の不具合や違和感を解消していく感じがとても面白いなと思って稽古を見ていました。
ギムはやとしては松永演出の時は特にこう言う進め方をすることが多いですね。
◆今回の作品についてもちょっとお伺いできればと思いますが、、、今回のタイトル「境目」。現時点でこれ以上の情報はあまり出ていないですよね?
そうですね。どうやって出していこうかな、と様子を伺ってます(笑)
◆これは例えば”人生の境目”みたいなことかな?と稽古を拝見しながら色々考えましたがどうでしょうか。
人生というよりは、どちらかというと人と人の境界。よくいう言葉でペルソナ(表面的な人格)みたいなところが見え隠れする「境目」みたいなものかな。
◆境界。確かに人によってそれぞれが思っている人との境界は違いますよね。本番までまだ1ヶ月以上ありますし、これからまた変化していく可能性もあるかと思います。ギムレトには早すぎるがお届けする「境目」、楽しみにしています。今回の出演者は山下万希さん以外の3人は客演で、五島さんは世代的に少し上ですよね。今回どういった経緯で出演されたんでしょうか?
五島真澄(PUYEY):実は劇団のメンバーとは個人的に結構昔からそれぞれと繋がりがあって。ギムはやという団体とは、去年PUYEYと一緒に公演をやったりしています。彼らのことは、それこそ高校生くらいの時から出会っているので、お互い老けたなー、と笑 感慨深いです。ちゃんと揉まれて社会人やってるんだな、みたいな笑
◆色々な繋がりの中で今回客演されることになったんですね。出演されるのは他に、西南学院大学演劇部から派生した団体「ふんわりパジャマズ」の髙松脩人さん、高校演劇の仲間で結成された団体「Space_」の渡邉大さんですね。お二人ともフレッシュですね。村岡さんの作品の創作についてもお伺いしたいです。
僕は客席使ったりとか、お客さんに近づく、みたいな“メタ演出”みたいなものが好きなんです。表現の仕方で遊ぶ、劇場で遊ぶみたいなのが好きなので、自分が役者として参加するときにも心がけていることなんですけど、そういった作品創りや稽古をしたりすることが多いです。これは僕の演劇においてのスタンスになっています。
◆今回もそういうのは入れていきますか?
入れていきたいなと思っていますね。でも、これは僕の気持ちとしての命題でもあるんですけど、今回一番目指しているのは、脚本家と僕の”ズレ”というか”違和感”をどこまでみせれるか、という部分です。
◆今回の公演で目指していることはありますか?
今回、ギムはやでは、初めて1本の作品として60分を超えるものを創るんですけど、初の長編でどこまでお客さまにみせれるか、みたいなところは探りながら目指していきたいです。オムニバス形式で上演するという案もあったんですけど、長編をやって見たらという声を周りの方からいただいて、せっかくなので挑戦してみようと。
◆仕事をしながら演劇活動を続けていくという部分での大変さもあると思いますが、初の長編作品、楽しみにしてます!
そうですね。大変な部分もありますが、その部分も示していけたらと思っています。目指す先にもよるんでしょうけど、演劇のために生活を犠牲にする必要はない。それは僕自身が大切にしていきたいと思っている部分でもあります。
◆素敵です。頑張ってください。最後に出演者の皆さんから一言お願いします。
出演者一同:今まさに、この公演が上手くいくのかいかないかの「境目」です笑!
◆笑 これから1ヶ月、この境目からどう進んでいくのか、本番を楽しみにしています。
出演者一同:劇場でお待ちしてます〜!!!
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ギムレットには早すぎる「境目」
境目ってありますね。しかし境目についてよく考えてみると、夏と冬ははっきり違うようで
どこからどこまでが夏で冬なのか、冬かと思えば暑い日があったり、梅雨も来ていないのに
日差しの痛い日があったり分からなくなります。あるいは子どもと大人はっきり違うよう
でその境目はどこにあるのか、ませた子どもと子どものような大人と分からないように感
じます。
日程▶3月8日(土)~9日(日)
会場▶パピオビールーム 大練習室
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