【第663回】岡田利規( チェルフィッチュ主宰)

(写真©宇壽山貴久子)


今年で五十歳になります。演劇を始めて三十年になりました。ここまでの三十年、わたしは演劇に、演劇への猜疑心を第一のものとしてなにより心にしたためながら、取り組んできました。その結果、演劇は信じるに値するものだと少しずつ、思えるようになってきました。演劇を疑うことと演劇を信じることが、相反することではなく、同じコインの裏表のようなことだというふうに感じられるようになりました。これからの十年をわたしは、わたしがもっと演劇を信じる方向に足を踏み入れることができるかどうか、いわば演劇との和解にチャレンジする十年としてみたいと考えています。そんな十年のスタートを木ノ下歌舞伎「桜姫東文章」という作品で切るのはうってつけだと思っています。この物語も歌舞伎という様式も、わたしは疑ってかかっています。その疑いが、それらを信じるというところまで届くはずであることを強く信じながら、です。あなたが歌舞伎や木ノ下歌舞伎にすでに期待しているものがあって、それをどうしてもどうしてもどうしても裏切られたくないのであれば、今回の「桜姫東文章」は見に来ない方が賢明です。知らないことを経験したい欲望をお持ちの方、それを経験したときの快感をご存じでそれを求めている方には、今回のわたしたちの「桜姫東文章」はきっとお応えして見せます。久留米でお待ちしています。


チェルフィッチュ主宰

脚本・演出 岡田利規


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1973年横浜生まれ、熊本在住。演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。

主宰する演劇カンパニー・チェルフィッチュでは2007年に『三月の5日間』で海外進出を果たして以降、世界90都市以上で上演。2016年〜2019年、ドイツ有数の公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリー作品を4シーズンにわたって務め、『The Vacuum Cleaner』(2019年)が毎年ドイツ語圏での約400の上演作品の中から“注目すべき10作品”を選ぶベルリン演劇祭Theatertreffenに選出。2022年、ハンブルク・タリア劇場『Doughnuts』で同演劇祭の二度目の選出を果たした。近年、能の現代語訳や能のフォーマットを用いた作品も手掛け、『NŌ THEATER』(2017年)、『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』(2021年/第72回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞、第25回鶴屋南北戯曲賞 受賞)を発表。歌劇『夕鶴』(2021年)で初めてオペラの演出を手がけるなど、活動の幅をさらに広げている。

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木ノ下歌舞伎『桜姫東文章』

木ノ下歌舞伎、待望の新作を久留米で上演。

第35回三島由紀夫賞を受賞した演劇界の旗手、岡田利規との初タッグで

鶴屋南北の代表作に挑む。


日程

2023年3月

4日(土) 15:00開演

5日(日) 13:00開演

<上演時間:3時間15分(休憩含む/予定)>


料金 

【全席指定/税込】

一般:4,500円

U25(25歳以下):3,000円

高校生以下:1,000円

※高校生以下およびU25チケットは入場時要証明書提示

※未就学児のご入場はご遠慮ください

※託児サービス有、詳細はこちら(定員有/無料/要事前予約 TEL 0942-36-3000)

※車椅子でご来場の方は事前に久留米シティプラザまでお問い合わせ下さい


チケット

■久留米シティプラザ  

 WEB ※会員登録が必要です

 窓口  ※営業時間 10:00~19:00 臨時休館あり


観劇サポート

本公演では、お客様の観劇に際して以下のご用意をしております。

みえない・みえづらいお客様へ

[リアルタイム音声ガイド]サービス:3/5(日)13時の回のみ

きこえない・きこえづらいお客様へ

[ポータブル字幕機提供]サービス : 3/5(日)13時の回のみ

料金  一般:4,050円、 U25(25歳以下):2,700円、 高校生以下:900円

※介助者1名まで無料

お申込み 座席位置・提供数に限りがございますので、下記までご予約・お問合せください。

メール:kcp-j@city.kurume.lg.jp   TEL:0942-36-3084

予約締切:2月20日(月)


スタッフ・キャスト

:鶴屋南北

監修・補綴:木ノ下裕一

脚本・演出:岡田利規

出演:成河、石橋静河、武谷公雄、足立智充、谷山知宏、森田真和、板橋優里、安部萌、石倉来輝

※出演を予定しておりました高山のえみは、諸事情により降板いたしました。なお、久留米公演において、これに伴うチケットの払い戻し対応は致しません。何卒、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。(1月13日)

サウンドデザイン:荒木優光

美術:稲田美智子

照明:吉本有輝子

音響:甲田徹

衣裳:藤谷香子

補綴助手:稲垣貴俊

演出助手:中村未希

演出部:湯山千景

舞台監督:大鹿展明

宣伝美術:外山央

宣伝写真:吉次史成

宣伝衣裳:藤谷香子

宣伝ヘアメイク:国府田圭(成河)、須山智未(石橋静河)

宣伝衣裳協力:PHBLIC×KAZUI、大野知英

制作:本郷麻衣、堀朝美、大蔵麻月


あらすじ

"深淵に沈み、また浮かぶ恋

激動する世界で、いまを問い直す「桜姫」"

新清水寺の高僧・清玄には、若い頃、稚児・白菊丸との心中に失敗した過去があった。その十七年後、吉田家の息女・桜姫が尼になるため新清水寺にやってくる。父と弟を殺され、家宝を失った桜姫は、生来開かない左手を前世の罪ゆえと考えて出家を決意していたのだ。

そこで桜姫が再会したのは、かつて自分を犯した盗賊・釣鐘権助だった。権助の子を産んでいた桜姫は、出家を翻意して権助と交わる。しかしその結果、桜姫の不義の相手として、権助ではなく清玄が無実の罪で告発されてしまった。追放された清玄は、桜姫こそ白菊丸の生まれ変わりだと確信。ところが桜姫はつれなく、ついには誤って清玄を殺してしまう。

変転の末に女郎となった桜姫には、夜ごと枕元に清玄の幽霊が立つという噂が立った。ある夜、清玄の幽霊が桜姫の前に現れ…。


お問合せ

久留米シティプラザ(久留米市)

TEL 0942-36-3000(代)

FAX 0942-36-3087

HP https://kurumecityplaza.jp

企画・製作 ⽊ノ下歌舞伎/⼀般社団法⼈樹来舎

主催 久留米シティプラザ(久留米市)

助成 令和4年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業

連携 穂の国とよはし芸術劇場PLAT、ロームシアター京都、りゅーとぴあ新潟市⺠芸術⽂化会館

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