お世話になっております。
大体2mmという団体を主宰しております、藤原と申します。
団体を立ち上げて10年が経ちました。10年経つということは、0歳だった赤ちゃんが10歳になるということで、幼児だったうちの子どもは今や中学生です。
ゴールデンウィークに、子どもに「一人で電車に乗って、目的地まで行って来い」というミッションを与えました。近場であれば自転車で勝手に遊びに行きますし、電車自体にも当然乗ったことはありますが、一人で最寄り駅まで行き、切符を買い、地図を見ながら目的地まで行く、という経験はまだなかったのです。目的地は小倉の「水環境館」という、ちょっとした水族館みたいな所です。
ぶっつけ本番で行くつもりだったのか、いつまで経っても準備をせず、ソファに寝転がってニンテンドースイッチで遊んでばかりの子どもに痺れを切らし、前日の夜に「何かしら用意をした方がいいんじゃないか」と提案しました。言うことを聞かずに私の機嫌を損ねると、後々面倒なことになると、13年の人生の中で子どもは学んでいたので、ニンテンドースイッチの電源を切り、最寄り駅までの道をグーグルの地図で調べ始めました。けれどしぶしぶやっているのが一目瞭然で、「あぁ、ポケモンやりてえな」という心の声が漏れ聞こえて来、あくびまで噛み殺す始末です。しぶしぶやっているのがバレると、私の機嫌が倍悪くなることまでは13年の人生でわからなかったようで、子が鼻くそをほじった時点でブチ切れた私は、「そんなにニンテンドースイッチが好きなら、ニンテンドーに就職すればいいやろが! まあニンテンドーに就職するってのもかなり狭き門で大変だろうから、もし本当にそうするならば、それはそれで応援しますけどね!」と捨て台詞を吐き、居間を後にしたのでした。
自室に引きこもった私は、せっかくの子どもの予定を台無しにしてしまった、という自己嫌悪から、テンションが地に落ち、「俺はもうダメだ。死のう。やっぱ無理」みたいな歌詞の90年代オルタナロックを聴いてうじうじしていると、居間から妻と子どもの笑い声が聞こえて来ました。
冷蔵庫にアイスを取りに行くフリをして様子を見ると、二人で水環境館までの行程確認を再開していました。私がブチ切れたあと、子どもも落ち込み、それを妻がフォローし、子どもがやる気を取り戻し、行程確認に前向きになった、という次第です。
ここまでがワンセットなのです。子どもが何か新しいことをしよう(させよう)と画策した時、けっこうな頻度で、業を煮やした私か妻のどちらかがブチ切れ、子をヘコませた上で物事が動くのです。正直、めちゃくちゃ面倒臭いです。私の自己嫌悪に至っては発露がありません。
家から最寄り駅までの道、切符の値段、降りる駅、駅から水環境館までの道をすべてメモし、水環境館に飽きたらどこへ行くかという候補も挙げ、1時間以上かけて準備を整えました。
当日の様子を私は知りません。ついて行ってないので。けれど後日、子どもは撮影した写真を私に見せながら、その日のことを話して聞かせてくれました。駅のホームでよくわからない祭りを見かけたこと、切符の値段を間違えて改札の扉が閉まったこと(事前に調べたのに!)、水環境館に2時間以上いたこと、飼育されていたカメがうちで飼っているのと同種で、育つとアホみたいにでかくなることなど、行かなければ知り得なかった出来事の数々です。
そして自転車で行ける範囲だった子どもの世界は、電車で行ける所まで広がりました。10年間で少しずつ、面倒臭さに負けて立ち止まりながらも、広がり続けています。私の機嫌を損ねない方法もそのうち身に付けるでしょう。
子どもと同じだけ歳を重ねた大体2mmという団体でも、最初からは想像も及ばないくらい遠い景色が見渡せるようになりました。私は私なりに、新しい道を開拓すべく、一歩ずつ歩みを進めています。行きつ戻りつ、20年、30年、50年、80年、100年と、身体の動く限りは歩き続ける所存です。
5月末に北九州芸術劇場で公演を行います。
どうぞよろしくお願いします。
大体2mm 10周年記念公演
『水曜日の男』
作:藤原達郎 演出:藤本瑞樹
[出演]
文目卓弥(飛ぶ劇場)
髙木政則(紫川天国一座)
藤原達郎
溝越そら(SKYSCRAPER)
森川松洋(バカボンド座)
若宮ハル(若宮計画)
[日程]
2022年
5月
28日(土)14:00/18:00
29日(日)14:00
※受付・開場は開演の30分前開始
[会場]
北九州芸術劇場 小劇場
[チケット料金]
一般 2,000円(当日2,500円)
大学生以下 1,500円(当日2,000円)
高校生〔的〕チケット 1,000円(枚数限定、劇場窓口・電話/前売のみ取扱、要学生証提示)
※日時指定・全席自由
※未就学児入場不可
※託児サービス有。公演初日の7日前まで受付。
(有料・定員有・要予約 093-562-2655)
[発売日]2022年4月24日(日) 10:00
[チケット取り扱い]
北九州芸術劇場 Q-station(窓口)/オンライン/電話/響ホール事務室
※予約特典のお知らせ
出演者(と太田カツキ)から予約をした場合、特典として「もらっても別にどうということはない画像」をメール等で配信します。
出演者は6名でして、太田カツキと合わせて画像も7種あります。がしかし、コンプリートした所で、別にどうということはない画像なので、別にどうということはありません。
文目(@ayame_takuya)、高木(@masa6465t)、藤原(@taro_ft)、溝越(@sky_BeQuiet)、森川(@morikawamatsu)、若宮(@wakamiyaharu)、太田カツキ(@sakuras1gure)
[スタッフ]
舞台監督:飯野智⼦
照明:芳⽥寛希((株)東京舞台照明⼤阪)
⾳響:横⽥奈王⼦((有)九州⾳響システム)
映像:⼤野真代
宣伝美術:合同会社kitaya505
演出助⼿:坂井彩(じあまり。)
制作補佐:松井由紀⼦(バカボンド座)
象徴:太⽥克宜(⾶ぶ劇場)
主催・企画製作/大体2mm
提携/北九州芸術劇場
助成/芸術文化振興基金
[お問い合わせ]
⼤体2mm
メール:about2mm@yahoo.co.jp
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