【第508回】植木健太(がらくた宝物殿/福岡学生演劇祭実行委員)

<遺言、のようなもの>

福岡学生演劇祭が5年目を迎える。

出場者も運営者も学生という体であったが、実は運営はこれまで多くの部分を、制作を専門とする社会人の方に頼ってきた。

今年は例年に比べるとはるかに学生によって運営される部分が大きい。過去4回に出場してきた世代に「上演が活きる環境」への当事者意識がようやく芽生え始めているのだ。主体的に上演環境を開拓していかなければ持続はない、と。しかし我々は修士2年になってしまった。残された寿命はあまりに短い、というよりすでに延命治療の最中にいる。

入れ替わりの激しい学生演劇が持続的に盛り上がるには、いかに早い段階で自団の外の環境に意識が向くかが重要ではないだろうか。そのためには、いい環境を求めたくなるようないい作品を作る経験が大切だと私は思う。

学生の中でも若い方、またそれと同世代の方、残された時間は長いと感じるかもしれないがあっという間に終わる。広く深い演劇観をもって、いい作品を作ってほしい。この度開催される、舞台芸術を学ぶWSもその一助となろう。

多分真に若い者にしか到達できない領域があるし、それが生まれる環境を守ることは重要だ。「学生の死」を間近に、切にそう感じている。

植木健太(がらくた宝物殿/福岡学生演劇祭実行委員) 


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