【第513回 】石田聖也(演劇ユニットそめごころ 演出家)

とある日。演劇WSで訪れた小学校の避難訓練で聴いた「北朝鮮からミサイルが飛んできた」という言葉とスピーカーから流れるミサイルの轟音。泣き出した男の子の「怖い…怖い」という小さな声と震える身体。

あの日を境に、僕は今が戦後なのか戦前なのかわからなくなった。

『僕等は誰も生まれる時代を選べない』

数年後、僕は今でも演劇の稽古場にいます。あの日の感覚は今でも確かに残っていて、それが今の僕の衝動を支えているのだと考えています。でも、8月15日に劇をするというのは対話の場を持つということで、稽古場にいるキャストやスタッフ、そして観客はみなバラバラな感じ方、考え方を持っているわけで。僕が8月15日に劇を上演する、ということ以上に誰かに伝えたいメッセージなんてありはしないんです。僕が自分の命を使ってやりたいことは、あなたと私が違っていても、私とあなたがわかりあえなかったとしても、演劇を作ること。そして対話に応じることです。 


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