【第631回】金世一(「劇団世 amI」主宰)

「俳優」という仕事

金世一

私は韓国で活動をしていた頃から俳優の訓練を指導していて、日本に来てからも続けています。多い時は年間500人を超える俳優もしくは俳優志望者の方々に出会っています。昔も今も私が皆さんに繰り返して強調しているのは演じるということは芸術行為であり、俳優は芸術家であることです。

芸術は思想と表現が合わさって完成されます。つまり「芸術=思想+表現」という等式で表せます。画家は自分の世界観を表すために筆の種類や使い方、色の作り方、物の配置方など様々なやり方で表現方法を探ります。ピアニストはピアノの弾き方で、作曲家は音符の並べ方で自分の世界観を表します。そしてその表し方を探るために耐えずに練習や訓練を積み重ねます。

俳優の場合はどうでしょう?

上の等式での「思想」は、俳優の仕事においては登場人物の世界観・感情・欲望などに置き換えることができるでしょう。すると俳優の仕事において表現はどういうものでしょうか。仕草と言葉、つまり身体と声の使い方です。俳優にとってそれ以外の表現方法はありません。他のジャンルの芸術がそうであるように演技は表現によって人に伝わります。テレパシーではありません。しかし多くの俳優が、表現に対する工夫と努力、つまり身体と声の練習や訓練に関してはそれほど大事に思っていないことにいつも驚かされます。俳優の演技は他のジャンルの芸術とは違うと無意識に思ってしまうからでしょう。でなければ普段何を訓練すればいいのか分からないからでしょう。

長年の現場経験と研究を通じて俳優のために「SEIL’S」という俳優訓練法を作りました。そしてワークショップを通じて訓練法をお伝えしています。俳優にとって訓練がどれほど大事であるのか、そして何を訓練すればいいのかを皆さんと共有したいと思います。


金世一俳優トレーニングWS

「水の駅」演出の金世一による俳優のためのトレーニングが、福岡で受けられます。次回は4月、下記の要領で開催します。

通常1~2カ月毎の開催を目指し、定期的な訓練ができるよう努めていますが、講師の韓国での作品演出のため、4月開催の次は8月頃となる予定です。

ぜひこの機会にご参加ください。

2022年4月5日(火)~4月7日(木)

各日17:00~22:00 パピオビールーム

いい俳優になるのには豊かな感性がとても大事です。

しかし豊かな感性というのはただ自然に発生するものではありません。

そして豊かな感性を持ったとしても、それが人にそのまま伝わるとも限りません。

日々の訓練を通じて、豊かな感性が宿る心身作りをしなければならず、それを伝えるための方法を習得しなければなりません。

いい俳優になるための日々の訓練の方法を皆さんと共有するための機会です。

是非経験してみてください。

                                       

講師:金世一 KIM SEIL

俳優、演出、演技トレーナー。

世 amI主宰/SEMAI project代表

韓国・釜山生まれ。慶星大学在学中(演劇専攻)の98年、ドンニョック(釜山演劇製作所)創立に参加。俳優として活動する傍ら、演技指導者として活躍。高校教員(演技教育)を経て03年から日本文化庁の海外芸術家招聘研修員として来日。その後東京を中心に、劇場の規模を問わず公演に参加する他、NHKの大河ドラマや映画出演、ナレーターを勤めるなど、幅広く活動。東京、京都、福岡などで演技トレーナーとしても活躍中。

参加費:【1日】4,900円 

    【3日通し】14,000円 

※3日で訓練効果がしっかり体に刻めるプログラム。1日からの参加もOK!

対象:俳優として活動する方・活動したい方

定員:各日15名 ※先着順(定員に達し次第締切)

申込:氏名・年齢・電話番号を明記し、メールにてお申込みください。

※折り返し返信させていただきます

SEIL’S academy

福岡ワークショップ担当:仁田野(ニタノ)

mail:seils.academy.fuk@gmail.com

TEL:090-1349-9041

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